概要 |
ナチュラルSEMにクールステージを搭載した「チルドSEM」は、試料を低真空下で冷却しながら観察することにより水分の蒸発や電子線損傷を軽減し、従来の試料前処理(固定・脱水・乾燥・蒸着など)を省略・簡略化して、含水試料を生に近い状態で長時間観察することを可能にしました。 また電子顕微鏡では、入射電子線と試料との相互作用により発生する特性X線を検出して元素分析を行うエネルギー分散型X線分析装置(以下EDX)を搭載することにより、含有元素の定性・分布状態(以下元素マッピング)を知ることが可能となります。 しかし、生物試料を観察・分析するために従来から用いられている試料前処理は、固定液などに用いられる薬品元素の混入や、脱水・乾燥時に生じる含有元素の移動や流出などの障害が発生する可能性が高いことから、これらの処理を施された試料のEDX分析は困難を伴う場合がありました。 この問題に対し最近、チルドSEMとEDXを用いた生物試料の直接観察と分析が検討されるようになり、植物の受粉時における元素の変動に関する研究を代表とした、いくつかの研究が報告されています。 今回は、試料を低真空下で冷却しながら観察することにより水分の蒸発や電子線損傷を軽減し、従来の試料前処理を省略・簡略化して、含水試料を生に近い状態で長時間観察することが可能な「チルドSEM(ナチュラルSEM+クールステージ)」にEDXを装備して、生物試料の直接観察を元素マッピングを行いましたのでご紹介します。
キーワード:チルドSEM,N-SEM,クールステージ,EDX分析,元素マッピング,植物試料,含水試料,直接観察・分析
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