概要 |
低真空型SEMは試料室を高い圧力に設定できるため、通常のSEM観察に必要な固定・脱水・コーティングなどの試料前処理を省略できることから、広く普及しつつあります。日立では1991年よりNatural SEMの名称で低真空型SEMを販売しています。 Natural SEMの試料室圧力は、標準で1~270Paの範囲で可変することができ、通常SEMと比較して圧力が大幅に高いため試料の収縮を軽減できます。しかし、特に水分を多く含む軟弱な試料では、観察時に水分の蒸発(常温における水の飽和蒸気圧は約2,700Pa)に伴って変形を生じることがあります。この解決法としては、図1に示すように試料温度を下げることによってより低い圧力で水を飽和状態に保持する手法が考えられます。 今回は、S-2250Nを用いて軟弱な植物細胞に対する低真空低温観察の実用性を検討しましたので以下その結果を紹介します。
キーワード:Natural SEM,低温観察,水分蒸発軽減 |