概要 |
透過電子顕微鏡(以下、TEMと略す。)を用いて生体高分子材料などを観察する場合、電子線照射による試料損傷をいかに軽減するかということが大きな問題となります。それを解決するには、試料前処理や観察方法にさまざまな工夫が必要となります。 日立電子顕微鏡Bio-TEM H-7100形シリーズでは、撮影視野の近傍で焦点合わせを行い、露光に必要な最小限の電子線量のみを撮影視野に照射することにより、試料損傷を極力避ける方法としてスーパーロードース法を標準装備しています。さらに、スポット状に絞った電子線をステップ状に試料面上に走査させながら、その透過像を記録するステップスポットスキャンTEM(SSSTEM)法も電子線損傷を軽減させるための有力な手法です。 今回、Bio-TEM H-7100形の新機能として上述のロードース照射法と試料傾斜時の自動焦点補正(ダイナミックフォーカス)機能とを組み合わせたSSSTEM装置を開発しましたので、その特徴および応用例を紹介します。
キーワード:透過形電子顕微鏡,ステップスポットスキャンTEM法(SSSTEM法),試料傾斜,自動焦点補正機能(ダイナミックフォーカス),ロードース照射法 |