概要 |
実用加速電圧80~120kVのいわゆる100kVクラスの透過電子顕微鏡(以下、TEM)は、試料の内部構造を高いコントラストで観察できるという特長を有しており、バイオ分野をはじめ、合成樹脂やトナーなどの有機高分子材料の分野でも広く利用されています。その用途は、主として試料の微細形態の観察ですが、X線分析(EDX)装置と組み合わせて、材料の微小部の組成を調べることもさかんに行われています。 これまで高性能120kV TEM H-7500では、分析バージョンによる粉体試料のX線分析など、EDX装置を用いた応用例をご紹介しましたが、今回、さらにH-7500における観察機能の効率向上と分析機能の充実を図るために、走査像観察(以下、STEM)装置を開発し、さらにTEM本体にスロースキャンCCD(SSCCD)カメラやサイドテイクオフ方式高感度検出器を装備したEDX装置を付属させ、それらの画像のネットワークによる共有化を可能にするなど、H-7500のトータルシステム化を図りましたので、本システムの概要ならびに2,3の応用例をご紹介します。
キーワード:透過電子顕微鏡,EDX装置,STEM像,元素マッピング,ヒト肺,ヒト皮膚,ラット腎臓 |