概要 |
1991年に発見されたカーボンナノチューブは、通常の物質とはサイズ、構造が異なり、ナノメータサイズの孤立したフィラメント状物質であることから、ユニークな特性を持つことが予測され、その物性の研究、生成方法の開発など様々な方面から研究が進められています。 また、カーボンナノチューブの実用化においても、フィールドエミッションディスプレイの電子源として利用する取り組みも進められており、ナノスケールの電子デバイスが形成できる可能性も秘めています。 カーボンナノチューブの構造評価には電子顕微鏡が用いられていますが、ナノチューブ形成過程において、ナノチューブ表面に付着した残渣が観察されることがあります。また、今回は、カーボンナノチューブを室温で観察し、電子線照射量による構造変化を観察しました。カーボン(C)系の材料は、高温で観察すると安定に観察できるという従来からの経験に基づき、透過電子顕微鏡試料室内でカーボンナノチューブを加熱しながらその構造観察を行いましたので、それらの結果について紹介します。
キーワード:カーボンナオチューブ,冷陰極電界放出形透過電子顕微鏡,ダイレクトヒーティングホルダー,グラファイトシート,多層ナノチューブ(multiwalled carbon nanotubes;MWNTs) |