概要 |
カーボンナノチューブは、電子・情報・通信分野では、電子エミッタ、表面弾性波フィルタとして、エネルギー分野では軽量バッテリーや水素吸蔵物質としての応用が期待され、世界中で精力的な研究が進められています。透過電子顕微鏡(TEM)は、そのカーボンナノチューブの研究に欠かせない装置のひとつですが、カーボンナノチューブは、高加速電圧の電子線照射には極めて弱いため、観察中に微細構造が変化することが多く、真の構造の高分解能観察及び「分析には熟練を要しました。 カーボンナノチューブには、多層ナノチューブ(MWNT:Multi walled nano tube)と単層ナノチューブ(SWNT:Single walled nano tube)があり、MWNTは、2~30層ぐらいのグラファイトが円筒を形成しているチューブで、SWNTはグラフェン(graphene、単原子層のグラファイト)が円筒状に継ぎ目なく閉じたチューブです。 MWNTについては、TEM試料室内で加熱することにより、加速電圧200kVでも安定に高分解能観察が行えることを既に報告しました(テクニカルデータNo.107)。 今回は、MWNTおよびSWNTを加速電圧200kVで600℃に加熱し、高分解能観察およびEELS(電子線エネルギー損失分光、EELS:Electron Energy Loss Spectroscopy)分析を行った結果について紹介します。
キーワード:カーボンナノチューブ,冷陰極電界放出形透過電子顕微鏡,ダイレクトヒーティングホルダ,多層ナノチューブ(MWNTs:multi-walled carbon nanotubes),単層ナノチューブ(SWNT:Single walled nano tube),グラフェン,EELS(電子線エネルギー損失分光、EELS:Electron Energy Loss Spectroscopy)分析 |