概要 |
ゲノム解析が進み、さまざまなタンパク質の遺伝子情報が解明されつつある昨今、タンパク質の機能を明らかにするために、立体構造の解明が重要な研究ターゲットになっています。そのための重要な研究手段のひとつとして、分子レベルでの高解像度観察が可能な電子顕微鏡が注目されています。 電子顕微鏡を用いて、試料の立体構造を観察するには、従来、連続切片法やステレオ観察法が用いられていますが、最近では、試料の連続傾斜像を観察し、それらを画像処理技術によって再構成する電子線コンピュータトモグラフィー(CT)法が利用されています。 電子線CT法で精度の良い画像を再構成するには、広い角度範囲で連続傾斜した数十から数百枚の画像の取得と、傾斜に伴って生ずる試料の位置ずれを正確に補正することが必要です。 そこで、新しい機能として、PC制御TEM H-7600において、自動的に試料を連続傾斜しながら、画像を取得する自動試料傾斜像記録機能を開発し、試料の立体構造の観察を可能にしました。今回は、H-7600の自動試料傾斜像記録機能を用いて、機能タンパク質の立体構造観察のための連続傾斜像の取得を試みましたので、以下にその原理と観察例を紹介します。
キーワード:透過電子顕微鏡,自動試料傾斜像記録機能,急速凍結ディープエッチレプリカ法,ウシ小脳,イノシトール三リン酸レセプター |