概要 |
さまざまな生体組織の構造解明には、その立体構造観察が不可欠です。最近、その手段として、透過電子顕微鏡(以下、TEM)を用いた電子線コンピュータートモグラフィー(CT)法が注目されています。この手法は、TEM内で、試料を連続的に傾斜しながら、記録した透過像の投影像を画像処理して、三次元的な情報を得るものです。その手法を用いて正確な三次元再構成を行うには、高角度試料傾斜機能、試料位置補正機能や焦点補正機能などの高精度なTEM本体の制御が必要となります。 最高加速電圧120kVのBio -TEM H-7650は、加速電圧やレンズ電源など、三次元再構成の精度に影響する主な条件をすべてCPU制御しています。さらに、自動試料傾斜機能や試料損傷を抑えるためのロードース(低電子線量照射)機能など、生物試料の観察に有用な機能が搭載されています。 今回は、電子線CT用として新たに開発された3D-TEMシステムの概要とその応用について紹介します。
キーワード:電子線トモグラフィー,透過電子顕微鏡,ユーセントリックサイドエントリーステージ,試料傾斜,三次元再構成,WBP;Weighted Back Projection,重み付け逆投影法,SIR; Simultaneous Iterative Reconstruction,代数的反復法,DSM;Dynamic Shell Modeling, ダイナミックシェルモデリング法,三次元表示,ウシ小脳,急速凍結・ディープエッチレプリカ |