SEMはナノテクノロジーやバイオテクノロジーをはじめ、あらゆる産業分野において、物質の微細構造から組成まで多岐にわたる観察・分析に活用されています。こうしたSEMの活用分野・用途が広がる中、鉄鋼などの工業材料や自動車関連部材といった、大型で重量のある試料は、設置するステージの試料対応サイズや重量に制限があり、観察には切断等の加工が必要となるなど課題がありました。
また近年では、各種材料の高機能化や高性能化を図るため、微細構造の制御が必要なことから、SEMの活用用途が従来の研究開発に加え、品質保証や生産管理にも広がり、活用の頻度は高まっています。そのため、操作性のさらなる向上によるオペレーターの負担軽減も求められていました。
このたび発売する「SU3800」と「SU3900」は、大型で重量のある試料の観察に対応し、かつ操作性を向上した製品です。特に大型機「SU3900」は、日立ハイテクのSEM大型機として最大クラスの300mm径*1、搭載可能重量5kg(従来比2.5倍*2)の試料ステージを備えており、大型試料でも切断などの加工を施すことなく観察することが可能です。さらに、試料セット後の電子ビーム照射から画像調整まで自動化することにより、観察開始後すぐにSEM像を取得でき、スピーディーな観察を実現しています。
また従来、CCDカメラの単一カラー画像で対応していた視野探し*3については、試料ステージを回転させ試料全体を分割撮影した後、各画像をつなぎ合わせることで、大型試料の広域観察における視野探しをサポートするカメラナビゲーションを実現しています。
国内販売価格は、「SU3800」は3,000万円、「SU3900」は3,400万円(税別)を予定し、ワールドワイドで年間150台の販売を見込んでいます。また、4月29日(月)から5月1日(水)まで、アメリカ(クリーブランド)で開催される「CeramicsExpo」、および5月7日(火)~5月10日(金)までドイツ(シュトゥットガルト)で開催される「33rd Control」、さらに9月4日(水)から9月6日(金)まで、日本(幕張メッセ)で開催される展示会において実機展示を行う予定です。
日立ハイテクは、ハイテク・ソリューション事業におけるグローバルトップをめざすとともに、最先端・最前線の事業創造企業としてお客様視点に立ち、顧客および市場のニーズにスピーディーに対応してまいります。
- *1
- 従来機であるSEM大型機「S-3700N」と同一
- *2
- 従来機「S-3700N」との比較。ただし比較内容は、試料ステージの平面移動時における重量制限に限る
- *3
- 視野探し:計測開始時に、現在計測している位置を把握する作業