新機能
電位測定モード AM-KFM/FM-KFM(定量性や感度など目的に応じたKFM使い分け)
AFM5500MⅡでは振幅変調方式KFM(AM-KFM)に加え新たに周波数変調ケルビンプローブフォース顕微鏡(FM-KFM)も使用可能となりました。
AM-KFMは探針と試料間に作用する静電気力そのものを検出し、零位法で表面電位を計測手法です。一方、FM-KFMでは、探針と試料間に作用する静電気力を微分して検出し、同様に零位法で表面電位を計測しています。
FM-KFMはAM-KFMに比べて探針先端の電位の検出感度が高く電位の定量性が優れます。単一材料間での電位や仕事関数比較などに優位なAM-KFMと、微細な周期構造や海島構造など定量性が求められる複合材料計測時に適したFM-KFMを、目的に応じてワンクリックで切り替えることが可能です。
- FM-KFMでは相互作用を微分して検出し、静電気気力を探針先端部分での検出する方式なので、AM-KFMと比較して電位定量性に優れます。
- AM-KFMは、探針先端の静電気力を検出するFM-KFMに比べて実効的なセンサー面積が広いため、SN比が優れています。
FM-KFMの静電気力検出のイメージ

探針先端だけでなく周囲に働く静電気力も検出

主に探針先端に働く静電気力を検出
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- 示している白い矢印は、AM-KFMとFM-KFMでの検出される相互作用のイメージです。
FM-KFMの効果が出やすい海島構造の試料の例
試料: F14H20自己組織化膜
AM-KFMおよびFM-KFMが検出する電位モデル

Si基板上に分散したF14H20自己組織化膜の測定結果および電位プロファイル
機械物性や電磁気物性など多くの物性測定にも対応
走査型プローブ顕微鏡は形状計測だけでなく様々な局所物性が測定可能な顕微鏡です。AFM5500MⅡは、弾性率や変形量, 吸着力や摩擦力といった様々な機械物性が同時取得可能なSIS-ACCESS/SIS-QuantiMechや、導電性や圧電分布, 表面電位といった様々な電磁気物性モードに対応しています。
◆AM-KFMとFM-KFMの電位プロファイル比較(試料: 5 V印加時の積層セラミックコンデンサ断面)
5 Vが印加されている隣接電極間において、FM-KFMでは精度よく約5 Vの電位差が計測されているのに対し、AM-KFMでは3.8 Vと実際よりも小さい電位差が計測されました。AM-KFMは電極面積がカンチレバーに対して十分広ければ高精度に電位計測できますが、今回のように電極が比較的狭い場合は、両電極から発生する静電気力がカンチレバーに同時に影響を及ぼし、電位値が平均化されて小さく計測されたものと思われます。
